2026年のおすすめAIセールスエージェント6選

Toni Lopez

Co-Founder at Karumi

営業ソフトウェア市場には毎年「AIエージェント」をうたう製品が次々と登場しますが、真の自律性の基準を満たすものはごくわずかです。AIセールスエージェントと、従来のツールにAIを上乗せしただけの製品との違いは、誰が意思決定を行うかにあります。AI搭載ツールでは判断は人間が担い、ソフトウェアはその実行を支援するにとどまります。一方、AIセールスエージェントではエージェント自身が判断し、行動します。営業担当者がすべてのステップを承認する必要はありません。

本記事では、2026年に注目すべきAIセールスエージェント6製品を、営業ファネルの各段階から1つずつ選びました。それぞれが異なるカテゴリーを代表し、コールドアウトバウンドから商談後のコーチングまで、特定のボトルネックを解消します。

選定基準

「おすすめAIセールスエージェント」系のリストに登場する製品の多くは、最低限の自律性の基準すら満たしていません。その多くは、営業担当者を支援するものの代わりに判断はしない、AIレイヤーを載せただけの営業ツールです。

今回のリストでは、次の3つの基準を適用しました。

  • 業務上の自律性:人間がすべてのステップを承認しなくても、製品が営業タスクを実行できること。これを確かめるために、シンプルなテストを行います。製品からAIを取り除いても、手作業が少し増えるだけでほぼ同じように機能するなら、それはAI営業ツールです。AIを取り除くと、判断を担っていたのがAIであるために製品が機能しなくなるなら、それはAIセールスエージェントです。今回選んだのは後者だけです。
  • ファネルの段階ごとに1エージェント:6つの異なるAI SDRを並べるのではなく、アウトバウンド、インバウンドのリード選別、ウォームリードとシグナル、デモ、コール、コーチングと売上予測という、ファネルの各段階から1つずつ選びました。市場全体を見渡したうえで、ツールを選ぶ前にどの段階がパイプラインに最も大きなインパクトを与えるかを判断できます。
  • プラットフォームかエージェントか:選定した製品の中には、エージェント機能を内包した広範なプラットフォーム(Outreach、Warmly、Nooks)もあります。その場合はプラットフォーム全体ではなく、エージェント部分に絞って評価しました。エージェントそのものを評価し、エージェント以外の機能で評価が水増しされるのを避けるためです。

➡️ AIセールスエージェントとは何かをあらためて知りたい方は、詳しいガイドで解説しています。

2026年のおすすめAIセールスエージェント

ここでは6つのAIセールスエージェントを、コールドアウトバウンドから商談後のコーチングまで、稼働するファネルの段階順に紹介します。それぞれが異なるボトルネックを解消するため、互いに代替できるものではありません。したがって、このリストはエージェント同士を比較するよりも、自社のファネルのどの段階に最も支援が必要かを見極めるために読むのがおすすめです。

ソフトウェアエージェントの種類ファネルの段階自律性のレベル最適な用途
11xAI SDR(Alice)+AI電話エージェント(Julian)アウトバウンド高SDRを増員せずにコールドアウトバウンドの見込み客開拓を拡大
Qualified (Piper)インバウンド向けAI SDRインバウンドのリード選別高営業時間外のインバウンド機会を取りこぼしているB2Bチーム
WarmlyTAM Agent+Inbound Agentウォームリードとシグナル高購買意向シグナルのあるアカウントへのアプローチを優先
KarumiAIデモエージェント製品デモ高「デモを依頼」後の待ち時間を、ライブのエージェント型デモに置き換えたいB2B SaaSチーム
NooksAIダイヤラー+ワークスペースコール中(ヒューマン・イン・ザ・ループ)1時間あたりの会話数を増やしたい電話中心のSDRチーム
Outreach Kaia会話インテリジェンス+AI売上予測コーチングと売上予測中(支援型)すでにOutreachを利用している中堅・大企業チーム

1. 11x

イラスト:1. 11x

最適な用途:SDRを増員せずにアウトバウンドの見込み客開拓を拡大したい、明確なICPと体系化された営業プロセスを持つ営業チーム。

11xは、営業におけるAIワーカーの議論を最も牽引してきた企業の1つです。主力製品のAliceは、ICPに合うアカウントの特定から商談の予約まで、アウトバウンドの見込み客開拓サイクル全体を自律的に実行するAI SDRです。現在はAliceに加えて、アウトバウンドとインバウンドの両方で稼働する多言語対応のAI電話エージェント、Julianも提供されており、マルチチャネルのアウトバウンド体制を完成させています。

主な機能

  • 見込み客の自律的な特定:Aliceは数百万のシグナルを追跡してICPに合うアカウントを特定し、購買意向に基づいて優先順位を付けたリストを生成します。
  • アカウントごとの高度なパーソナライズ:見込み客のリサーチと自動調整されるメッセージを組み合わせ、すぐに効果が薄れるテンプレートの使い回しを避けます。
  • マルチチャネルのアプローチ:メールとLinkedInを連携させたシーケンスを、見込み客ごとのエンゲージメントに合わせた頻度で実行します。
  • AI電話エージェント(Julian):アウトバウンドとインバウンドの音声通話でAliceを補完し、多言語で24時間365日稼働します。
  • 返信の自律的な管理:Aliceは返信を分類し、基本的な反論に対応し、本当に関心がある場合は商談を予約します。すべて営業担当者の介入なしで行われます。
  • 自己改善するメッセージ:エージェントはやり取りから学習し、セグメントごとに最もコンバージョンにつながるパターンに基づいて文面を調整します。
  • CRM連携:アカウント、アクティビティ、商談を、中間ステップなしで主要なCRMと同期します。
  • 24時間365日の稼働:時間の制約なく稼働するため、異なるタイムゾーンに見込み客を抱えるチームに特に役立ちます。

他との違い

11xの特長は、Aliceが稼働する際の自律性の高さです。他のAI SDRでは、テンプレートの設定や各シーケンス開始の承認にまだ人間が必要ですが、Aliceは誰に連絡し、何を伝え、いつフォローアップするかを手作業なしで判断します。

2. Qualified Piper

最適な用途:Webサイトのトラフィックが多く、即時対応できる体制がないためにインバウンドファネルで機会を取りこぼしているB2B企業。

Qualifiedが開発したPiperは、ファネルのインバウンド側に特化したAI SDR Agentです。多くのAI SDRがアウトバウンドに特化しているのに対し、Piperは自社サイトを訪れた訪問者にリアルタイムで対応し、リードを選別してパイプラインにつなげます。最新版のPiperXでは対面形式のビデオ会話が加わり、従来のチャットを超えた対応が可能になりました。

主な機能

  • Webサイト上のマルチチャネル対応:チャット、音声、ビデオに対応し、その後のナーチャリングのために見込み客の受信トレイへシームレスに引き継ぎます。
  • リアルタイムのリード選別:Piperは適切な質問を投げかけてユースケースを把握し、担当すべき営業担当者に振り分けます。適合しない場合はリードを対象外にします。
  • 商談の自律的な予約:人手を介さず、適切な営業担当者のカレンダーに直接予約を入れます。
  • パーソナライズされたメールフォローアップ:Webサイトでコンバージョンしなかったリードに個別のメールを送り、成約まで会話を途切れさせません。
  • 購買意向とアカウント適合度によるセグメント分け:アカウントの背景(企業属性データ、行動シグナル)を把握し、提案内容を調整します。
  • 会話における生成AI:固定のスクリプトを使わず、会話の流れに応じて動的に回答を生成します。
  • GTMスタックとのネイティブ連携:CRM、マーケティングオートメーション、セールスエンゲージメント、インテントデータ提供サービス、会議ツールと連携します。
  • 分析とレポート:チャネル別のコンバージョン率、リードの質、エージェントのパフォーマンス、訪問者の行動を測定します。

他との違い

Piperの強みは、インバウンドをエンドツーエンドでカバーする点です。この分野の製品の多くは、チャットボット、リードの振り分け、メールナーチャリングといった一部分だけを担い、残りは人間のチームに委ねます。Piperはインバウンドファネル全体で稼働し、Webサイトでの最初の接点から商談予約まで対応するため、リードの選別が済むまで営業担当者が介入する必要はありません。

3. Warmly

最適な用途:大量のコールドアカウントのリストにコールドアウトバウンドを行うのではなく、実際の購買意向に基づいてアプローチの優先順位を付けたい営業チーム。

Warmlyは、2つの主要なエージェントを組み合わせたエージェント型GTMプラットフォームです。TAM Agentはシグナルに基づくアウトバウンド(アカウントスコアリング、購買委員会のマッピング、購買意向の追跡)を実行します。Inbound AgentはWebサイト訪問者に対応します(個人レベルの匿名解除、AIチャット、スマートポップアップ、自動フォローアップ)。両者は、すべてのシグナルを一貫したアカウントモデルに統合するContext Graphを共有しています。

主な機能

  • Webサイト訪問者の匿名解除:フォームに入力していなくても、サイトを訪れているのが誰かを個人またはアカウント単位で特定します。
  • 購買意向シグナルのモニタリング:ターゲットアカウントにおける重要ページの閲覧、ダウンロード、ウェビナー参加、組織変更、関連技術の導入状況を追跡します。
  • ライブビデオ付きAIチャット:チャットボットがリアルタイムで訪問者に対応し、訪問者がサイトにいる間に営業担当者がビデオで会話に加わることもできます。
  • 自動アウトバウンド向けTAM Agent:購買意向が高まっているアカウントを優先して、メールのシーケンスを実行します。
  • 購買委員会のマッピング:各アカウントの関係者を特定し、複数の担当者への同時アプローチ(マルチスレッディング)を組み立てます。
  • パーソナライズされたマイクロサイト:訪れたアカウントに合わせたランディングページを生成し、コンバージョン率を高めます。
  • 統合されたContext Graph:すべてのシグナルとデータを共通のインテリジェンス層に集約し、2つのエージェントが連携して動けるようにします。
  • CRMと広告プラットフォームとの連携:質の高いオーディエンスを有料キャンペーンに送り込み、営業活動を同期させます。

他との違い

Warmlyが他のAI SDRと一線を画すのは、シグナルに基づく優先順位付けです。コールドアカウントのリストにアウトバウンドを行う代わりに、Webサイト上の行動、組織変更、外部シグナルなどを通じて実際に購買意向を示しているアカウントに力を集中させます。その結果、アプローチの件数は減るものの、コンバージョン率は大幅に高まります。

4. Karumi

最適な用途:「デモを依頼」から実際のデモまでの待ち時間をなくし、あらゆる言語で24時間365日、パーソナライズされたライブデモを提供したいB2B SaaS企業。

Karumiはエージェント型デモのプラットフォームです。コンバージョンへの影響が大きいにもかかわらず手つかずだったファネルの段階に取り組む、新しいカテゴリーです。エージェント型デモとは、AIエージェントが見込み客とのライブのビデオ通話に参加し、実際の製品を操作しながら、相手の役職、業界、ユースケースに合わせて毎回内容を調整する製品デモのことです。デモを依頼してから営業担当者の空き枠が見つかるまで何日も待つ、という従来の手間がなくなります。

主な機能

  • 実際の製品上で動くAIエージェント:スクリーンショットやクローンではなく、製品の実際のインターフェース上で直接操作するため、見込み客は本物のソフトウェアを見ることができます。
  • 24時間365日のライブビデオ通話:見込み客がカレンダーの空きを待つ必要はなく、エージェントがどのタイムゾーンでも即座にデモを行います。
  • 役職・業界に応じたパーソナライズ:相手のプロフィールに合わせてデモ内容を調整し、たとえばVP of Engineeringが重視する機能とCFOが見たい機能とで、見せる順番を変えます。
  • 多言語対応:スクリプトを手作業で翻訳しなくても、さまざまな言語で見込み客に対応します。
  • 製品の自動学習:製品の変更やドキュメントから自動的に学習するため、リリースのたびにスクリプトを更新する必要がありません。
  • デモ中のシグナル取得:製品のどの部分に見込み客が最も関心を示したか、どのような反論が出たか、どのような購買意向が見えたかを、セッション中に記録します。
  • CRMとの同期:すべてのデモと検出したシグナル(質問、反論、購買意向)をCRMに直接記録し、営業担当者がすぐにフォローアップできる状態にします。
  • セキュリティとコンプライアンス:SOC 2、GDPR、ISO 27001などの基準に準拠しています。

他との違い

Karumiは、ビデオ通話中に実際の製品上でライブに動作する、市場で唯一のAIセールスエージェントです。デモ自動化分野の他の製品は、画面キャプチャや録画済みの動画を使っています。そのためインタラクティブデモは作れても、見込み客が別の画面を見たいと求め、エージェントがリアルタイムに応じるようなライブデモは実現できません。

見込み客は理想化されたバージョンではなく、ありのままの製品を見ることができます。またエージェントは実際のインターフェースを操作しているため、スクリプトにない質問にも答えられます。「デモを依頼」のクリックから実際のデモまでの待ち時間がファネルのボトルネックになっている企業にとって、Karumiは営業担当者を増員することなくこの課題を解決します。

5. Nooks

イラスト:5. Nooks

最適な用途:電話をアウトバウンドの主要チャネルとし、コーチングの質を落とさずに1時間あたりの会話数を大きく増やしたいSDRチーム。

Nooksは、電話でアウトバウンドを行うチーム向けのエージェント型ワークスペースです。中核となるAI Parallel Dialerは、複数の番号に同時に発信し、見込み客が応答したときだけ営業担当者につなぐことで、通話間の無駄な時間をなくします。さらにダイヤラーを軸に、マルチチャネルのシーケンス、リアルタイムの通話コーチング、購買意向に基づくリストの優先順位付けを提供しています。

主な機能

  • AI Parallel Dialer:複数の番号に同時に発信し、相手が電話口に出たときだけ営業担当者につなぐことで、1時間あたりの会話数を大きく増やします。
  • Hot Numbers:過去のデータからつながる確率が最も高い番号を自動で特定し、発信リストの上位に置きます。
  • Multichannel AI Sequencing:電話とメールなど他のチャネルを組み合わせ、見込み客のエンゲージメントに応じてエージェントが次のステップを判断します。
  • Real time AI Coaching:通話をリアルタイムで文字起こしし、会話の文脈に応じてバトルカードや反論への切り返しを表示します。
  • Smart Lists:リアルタイムのシグナルと購買意向に基づき、見込み客リストを動的に生成します。
  • ローカル番号とコンプライアンス:地域ごとのローカル番号を管理し、番号をローテーションしてスパム判定を抑え、タイムゾーンや発信拒否(DNC)のルールを順守します。
  • バーチャル営業フロア:SDRがリモートで一緒に働ける共同作業環境で、ライブでの通話モニタリングや同僚同士のフィードバックが可能です。
  • CRM連携:通話、結果、メモが自動で同期されるため、営業担当者の手作業は不要です。

他との違い

Nooksは2つの課題を同時に解決します。パラレルダイヤラーが営業担当者1人あたりの1日の通話数を大幅に増やし、リアルタイムコーチングが文脈に応じたバトルカードや反論への切り返しで会話中の担当者を支援します。

ただし、重要な注意点があります。AIが見込み客と話すわけではありません。AIは発信、留守番電話の検出、文脈情報の提示といった機械的な作業を担い、会話そのものは人間のSDRが行います。

6. Outreach Kaia

イラスト:6. Outreach Kaia

最適な用途:すでにOutreachをセールスエンゲージメントプラットフォームとして利用しており、会話とパイプラインにインテリジェンス層を加えたい中堅・大企業の営業チーム。

Outreach Kaiaは、Outreachプラットフォームの会話インテリジェンスとAI売上予測を担うレイヤーです。このリストの他のエージェントがファネルの初期段階(見込み客開拓、リード選別、デモ)で稼働するのに対し、Kaiaはインテリジェンス層で機能します。チームの通話をリアルタイムで分析して個別のコーチングを提供し、どの案件が成約し、どの案件がリスクを抱えているかを予測します。

主な機能

  • リアルタイム文字起こし:Kaiaはビデオ通話に自動で参加し、会話をリアルタイムで文字起こしして、重要な瞬間をその場で特定します。
  • Live Cardsとコーチングのヒント:会話の文脈に応じて、バトルカード、価格に関するガイダンス、反論への切り返しをリアルタイムで表示します。
  • 通話後のサマリーとアクションアイテム:アクションアイテムを自動抽出した構造化サマリーを生成し、CRMと同期します。
  • 構造化されたコーチングカード:マネージャーがMEDDPICC、Sandler、SPICEDなどの手法に沿ったカードを設定し、Kaiaがすべての通話をそのフレームワークに照らして評価します。
  • パイプライン分析と案件の健全性:パイプラインをリアルタイムで分析し、リスクのある案件を特定して、前進させたりエスカレーションしたりするための具体的なアクションを提案します。
  • AI売上予測:過去のパターン、案件の進捗スピード、エンゲージメントのシグナルに基づき、パイプラインの結果を予測します。
  • トピックの追跡:競合への言及、繰り返し出る反論、重要な会話テーマを検出し、チーム全体で生まれつつある傾向を可視化します。
  • Outreachプラットフォームとのネイティブ連携:セールスエンゲージメントの環境内で動作するため、メール送信、シーケンス管理、アクティビティの追跡に外部ツールは必要ありません。

他との違い

Kaiaが際立つのは、このリストの他のエージェントがカバーしていない分析と予測の層を担っている点です。チームがどのように会話しているか、パイプラインのどこで停滞しているかをリアルタイムで把握したいマネージャーにとって、代わりを見つけるのは難しいでしょう。ただし、Outreachのエコシステム内で動作するため、その真価を発揮するのはチームがすでに同プラットフォームを本格的に活用している場合に限られます。